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第10回 65歳を迎えて思ったこと

年金生活実践記 生活
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65歳は、急に老人になる日ではない。
いや、30代の頃と何が変わったの? 体力が落ちたくらいでしょう。

65歳の誕生日が近づくと、年金、介護保険、退職といった言葉が一度に身近になります。
制度の上では大きな節目です。
しかし、誕生日を境に体も気持ちも急に変わるわけではありません。

昨日まで会社へ通っていた人が、今日から突然「年金生活の達人」になるわけでもありません。
私も、分からないことを一つずつ調べながら、ゆっくり年金生活へ移ろうとしています。

最初はお金の不安ばかり見ていた

退職を意識し始めたころ、私が考えていたのはお金のことでした。

  • 年金はいくら受け取れるか
  • 健康保険料はいくらか
  • 住民税は残るのか
  • 介護保険料はいくらか
  • 夫婦二人で生活できるか

退職金がないため、余計に不安を感じました。
しかし、実際の数字を一つずつ調べると、不安の形が変わりました。

会社から提示された任意継続保険料は、9月から翌年3月までで128,559円。
国民健康保険の概算は約17万5,000円。
初年度は任意継続のほうが、約4万~5万円安い可能性があると分かりました。

金額が見えた瞬間、漠然とした不安が、比較できる問題に変わりました。

間違った思い込みにも気づいた

私は、退職して給与がなくなれば、国民健康保険料もすぐに安くなると思っていました。
しかし、保険料は基本的に前年所得をもとに計算されます。
また、翌年度は給与所得約170万円だけでなく、退職年に実際に受け取った年金も所得計算に関係します。

「退職したから安くなる」
「翌年なら必ず安い」
と単純には決められません。

分からないことを調べる中で、自分の思い込みを直せたことも、大きな収穫でした。

正解は毎年変わるかもしれない

初年度は任意継続が有利でも、翌年度は国民健康保険のほうが安くなるかもしれません。
反対に、年金所得や保険料率によっては、思ったほど下がらない可能性もあります。
私は、一度選んだ方法を正解として固定せず、毎年比較することにしました。

  • 任意継続の年間保険料
  • 国民健康保険の年間保険料
  • 妻の加入条件
  • 健康診断や給付内容
  • 手続き期限

この五つを確認し、その年の自分たちに合う方法を選びます。

年金生活は支出を小さくするだけではない

年金生活の記事を読むと、節約の話が多く出てきます。
もちろん、収入に合わせて支出を見直すことは必要です。
しかし、私は節約だけを目的にした年金生活にはしたくありません。

長い間働いてきたからこそ、これからは妻との旅行や、自分の好きなブログを楽しみたいと思っています。
大きなお金を使わなくても、楽しみは作れます。
近くの温泉へ行く。
季節の花を見る。
行ったことのない町を歩く。
この記事シリーズのように自分が調べたことを、同じ年代の人へ伝える。

こうした時間も、年金生活の大切な収入なのだと思います。
通帳には入りませんが、心の残高を増やしてくれます。

妻と一緒に考えることが安心につながった

年金生活は、私一人の問題ではありません。
妻と二人で暮らしていくため、健康保険も家計も、二人の条件で考える必要があります。

妻の前年収入は0円ですが、国民健康保険では加入者として計算されます。
任意継続では、条件を満たせば被扶養者として加入できる可能性があります。

また、妻が65歳になると、加給年金が終了する可能性があります。
こうした変化を私一人だけが知っていても、夫婦の安心にはなりません。
数字を見せながら一緒に話すことで、
「今はこのくらい使える」
「加給年金が終わったら見直そう」
「旅行費は毎月積み立てよう」
と考えられるようになりました。

すべてを完璧に理解する必要はない

年金、税金、健康保険、介護保険の制度は一般人にはとっても複雑です。

私も、すべてを理解できたわけではありません。
しかし、生活するために必要な部分は少しずつ分かってきました。

大切なのは、制度の専門家になることではありません。

  • 自分はいくら受け取るのか
  • 何をいつ支払うのか
  • どこへ手続きするのか
  • 分からないときはどこへ聞くのか

この四つが分かれば、年金生活の入口で立ち止まらずに済みます。

私がこの10回で伝えたかったこと

このシリーズでは、私自身が65歳で退職する前に気になったことを紹介してきました。

  1. 最初に健康保険を確認する
  2. 任意継続と国保を実額で比べる
  3. 前年所得で決まることを知る
  4. 退職金がなくても家計を組み立てる
  5. 年金の額面と手取りを分ける
  6. 住民税と介護保険料を忘れない
  7. 1年目のお金を時系列で考える
  8. 夫婦二人の家計を試算する
  9. 退職前に書類と資金を準備する
  10. 毎年見直しながら暮らす

私の数字が、すべての人に当てはまるわけではありません。
住む場所、所得、家族構成、加入している健康保険によって結果は変わります。
それでも、自分の数字を調べて並べるという方法は、多くの人に役立つと思います。

65歳は暮らしを作り直す出発点

退職は、毎月決まった給与が入る生活の終わりです。
同時に、自分で時間の使い方を選べる生活の始まりでもあります。
不安が完全になくなる日は来ないかもしれません。

しかし、分からないことを一つずつ数字に変えれば、不安は少しずつ小さくできます。
私はこれから、妻と旅行を楽しみながら、ブログも続けていきたいと思っています。

65歳からの暮らしは、人生の余り時間ではありません。
長く働いてきた経験を持って、自分らしい一日を組み立て直す時間です。

このシリーズが、読んでくれた皆さんたちが、これから退職や年金生活を迎える方にとって、
最初の一歩を踏み出すための小さな地図になればうれしく思います。


シリーズ共通の注意書き

この記事は、筆者自身の年齢、所得、家族構成、居住地などをもとにした実体験と試算です。
まだ調べ方も間違っている可能性は有ると思います。

年金額、税金、健康保険料、介護保険料は、所得、控除、加入する制度、自治体、年度の料率などによって異なります。
人によって違うので、必ず自分のこととして自分で調べる必要があるのです。

実際の手続きや金額については、日本年金機構、加入している健康保険組合、居住地の市、税務署などから届く正式な通知をご確認ください。


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